■ この授業で伝えたいこと
この授業で一番伝えたいのは、「成功体験は武器にもなるが、同時に最大のリスクにもなる」という点です。レナウンの事例は、かつて圧倒的なブランド力と売上を誇った企業であっても、市場環境の変化に対応できなければ、あっという間に崩壊してしまうことを示しています。特に重要なのは、売上の“構造”です。どこで売っているのか、誰に売っているのか、その依存度が高すぎると、一つの変化で全体が崩れてしまいます。百貨店に依存し続けた結果、消費者の変化や流通の変化に対応できなかったことが致命傷となりました。また、ブランドの「格」を守るという考えが、逆に変化を拒む要因になった点も重要です。現代のマーケティングでは、売上を伸ばすこと以上に、「変化に適応し続ける力」が求められます。この授業を通じて、売上の伸ばし方ではなく、「売上が崩れない構造」を考える視点を身につけてほしいと思います。

By EIC_Mr.S

私は神戸で生まれ、1986年にアパレル業界に入りました。当時の日本は、ファッション業界が大きく成長していた時代です。作れば売れる、そんな勢いのある市場でした。 しかし1991年、バブルが崩壊します。それまで順調だった業界は、一気に厳しい時代に入りました。 「なぜ売れないのか」「どうすればブランドは生き残れるのか」 その答えを探しながら、営業、商品企画、事業づくりに取り組み続けました。 その後、私は海外事業に挑戦することになります。台湾や香港で経営を任され、アジア市場で事業を展開しました。 しかし海外では、日本の成功モデルは通用しません。気候も、体型も、文化も、すべて違うからです。 商品も、組織も、販売方法も、すべてゼロから作り直す必要がありました。 多くの失敗も経験しました。しかしその経験が、ファッションビジネスの本質を教えてくれました。 それは 「売上ではなく、ブランドの仕組みがすべてを決める」 ということです。 現在は経営コンサルタントとして企業の支援を行いながら、専門学校の講師として学生にも授業をしています。 なぜ教育をしているのか。 それは、私が経験してきたことを次の世代に伝えたいからです。 アパレル業界を、少しでも良くしたい。 その想いで、私は今もファッションビジネスに向き合い続けています。