今回の授業で一番伝えたいことは、これからのファッションビジネスは、「商品を売る」だけではなく、「お客様とのつながりを設計する時代」になっているということです。昔は、良い商品を作って、店舗に並べれば売れる時代もありました。しかし今は、スマホで比較され、SNSで情報を集め、ECサイトで価格を比較しながら購入する時代です。つまり、お客様は「店舗だけ」で買っているわけではありません。Instagramで知り、アプリで在庫確認し、店舗で試着して、ECで購入する。この流れ全体を設計することが重要です。これが「オムニチャネル」の考え方です。さらに重要なのは、一度買って終わりではなく、「また来たくなる」「また買いたくなる」「このブランドが好き」と思ってもらうことです。そのためには、ポイント、LINE、SNS、アプリ、スタッフ接客、レビュー、イベントなどをつなげて、“顧客との関係性”を育てていく必要があります。特にアパレル業界は、新規顧客獲得コストが高くなっています。だからこそ、「既存顧客のリピート」が利益に直結します。今回の授業では、・オムニチャネルとは何か・なぜ顧客の囲い込みが重要なのか・ブランドコミュニティの作り方・RFM分析による顧客管理・優良顧客を育てる考え方について、実際のブランド事例を交えながら、やさしく学んでいきます。

By EIC_Mr.S

私は神戸で生まれ、1986年にアパレル業界に入りました。当時の日本は、ファッション業界が大きく成長していた時代です。作れば売れる、そんな勢いのある市場でした。 しかし1991年、バブルが崩壊します。それまで順調だった業界は、一気に厳しい時代に入りました。 「なぜ売れないのか」「どうすればブランドは生き残れるのか」 その答えを探しながら、営業、商品企画、事業づくりに取り組み続けました。 その後、私は海外事業に挑戦することになります。台湾や香港で経営を任され、アジア市場で事業を展開しました。 しかし海外では、日本の成功モデルは通用しません。気候も、体型も、文化も、すべて違うからです。 商品も、組織も、販売方法も、すべてゼロから作り直す必要がありました。 多くの失敗も経験しました。しかしその経験が、ファッションビジネスの本質を教えてくれました。 それは 「売上ではなく、ブランドの仕組みがすべてを決める」 ということです。 現在は経営コンサルタントとして企業の支援を行いながら、専門学校の講師として学生にも授業をしています。 なぜ教育をしているのか。 それは、私が経験してきたことを次の世代に伝えたいからです。 アパレル業界を、少しでも良くしたい。 その想いで、私は今もファッションビジネスに向き合い続けています。