今回の授業で皆さんに一番伝えたいのは、これからの時代は「商品を売る」だけではなく、「お客様との関係を育てる」ことが、ブランドの利益を支える時代になっているということです。昔は、広告を出して、商品数を増やして、セールをすれば売上が伸びる時代でした。ですが今は、どのブランドも商品が溢れ、SNSやAIで簡単に比較される時代です。そんな中で大切になるのが、「このブランドが好き」「この店員さんから買いたい」「この世界観に共感する」という“感情のつながり”です。つまり、LTV(顧客生涯価値)の考え方です。短期的に1回売って終わりではなく、長く買い続けてもらい、紹介してもらい、ファンになってもらう。その積み重ねが、営業利益を安定させる時代になっています。そして、AI時代だからこそ、人にしか作れない価値があります。それが、「共感」「体験」「空気感」「熱量」です。今回の授業では、ユニクロ、無印良品、ビームス、ワークマン、Snow Peakなどの事例を通じて、「なぜファンが生まれるのか」「どうすれば選ばれ続けるブランドになるのか」を学んでいきます。ファッションビジネスは、単なる服の販売ではありません。人の気持ちを動かし、生活を豊かにし、社会とのつながりを作る仕事です。ぜひ、「売上を見る視点」だけでなく、「長く愛される関係を作る視点」で、この授業を学んで下さい。

By EIC_Mr.S

私は神戸で生まれ、1986年にアパレル業界に入りました。当時の日本は、ファッション業界が大きく成長していた時代です。作れば売れる、そんな勢いのある市場でした。 しかし1991年、バブルが崩壊します。それまで順調だった業界は、一気に厳しい時代に入りました。 「なぜ売れないのか」「どうすればブランドは生き残れるのか」 その答えを探しながら、営業、商品企画、事業づくりに取り組み続けました。 その後、私は海外事業に挑戦することになります。台湾や香港で経営を任され、アジア市場で事業を展開しました。 しかし海外では、日本の成功モデルは通用しません。気候も、体型も、文化も、すべて違うからです。 商品も、組織も、販売方法も、すべてゼロから作り直す必要がありました。 多くの失敗も経験しました。しかしその経験が、ファッションビジネスの本質を教えてくれました。 それは 「売上ではなく、ブランドの仕組みがすべてを決める」 ということです。 現在は経営コンサルタントとして企業の支援を行いながら、専門学校の講師として学生にも授業をしています。 なぜ教育をしているのか。 それは、私が経験してきたことを次の世代に伝えたいからです。 アパレル業界を、少しでも良くしたい。 その想いで、私は今もファッションビジネスに向き合い続けています。