この授業で伝えたいこと

私たちは普段、「値上げ=悪いこと」と考えがちです。しかし企業経営の視点で見ると、値上げは利益を守り、事業を継続するための重要な経営判断です。

特にアパレル業界では、原材料価格の上昇、人件費の高騰、物流費の増加、円安による輸入コスト上昇など、さまざまな要因によって製造原価が上昇しています。企業が価格を据え置けば利益は減少し、最終的には商品開発やサービス向上に投資できなくなります。

一方で、単純な値上げは顧客離れを招く可能性があります。そのため企業は、商品の価値を高めながら価格を上げる「価値訴求型値上げ」や、機能追加・品質向上を伴う「付加価値型値上げ」を行っています。

2026年現在、多くの企業は生成AIやDXを活用し、生産性向上によってコスト増を吸収しようとしています。しかし、それだけでは限界があり、適正な価格設定がますます重要になっています。

本授業では、アパレル業界を中心に、なぜ値上げが必要なのか、製造原価はどのように構成されているのか、企業はどのように価格を決めているのかを学びます。そして、マーケティングの本質である「価格ではなく価値を売る」という考え方を理解し、将来の商品企画やブランド運営に活かせる知識を身につけてほしいと思います。

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By EIC_Mr.S

私は神戸で生まれ、1986年にアパレル業界に入りました。当時の日本は、ファッション業界が大きく成長していた時代です。作れば売れる、そんな勢いのある市場でした。 しかし1991年、バブルが崩壊します。それまで順調だった業界は、一気に厳しい時代に入りました。 「なぜ売れないのか」「どうすればブランドは生き残れるのか」 その答えを探しながら、営業、商品企画、事業づくりに取り組み続けました。 その後、私は海外事業に挑戦することになります。台湾や香港で経営を任され、アジア市場で事業を展開しました。 しかし海外では、日本の成功モデルは通用しません。気候も、体型も、文化も、すべて違うからです。 商品も、組織も、販売方法も、すべてゼロから作り直す必要がありました。 多くの失敗も経験しました。しかしその経験が、ファッションビジネスの本質を教えてくれました。 それは 「売上ではなく、ブランドの仕組みがすべてを決める」 ということです。 現在は経営コンサルタントとして企業の支援を行いながら、専門学校の講師として学生にも授業をしています。 なぜ教育をしているのか。 それは、私が経験してきたことを次の世代に伝えたいからです。 アパレル業界を、少しでも良くしたい。 その想いで、私は今もファッションビジネスに向き合い続けています。