この授業で伝えたいこと

中国市場というと、多くの人は上海や北京などの大都市を思い浮かべるかもしれません。しかし現在、中国では地方都市の所得や消費水準が大きく向上し、新しい市場として注目されています。今回の事例では、バンダイナムコがこれまでの「大都市集中型」の戦略から、「地方都市へ自ら出向く戦略」へと転換しました。

その背景には、日中関係の悪化による政治リスクがあります。日本企業はイベント開催やコンテンツ展開にさまざまな制約を受ける中でも、市場をあきらめるのではなく、新しい方法でお客様との接点を作ろうとしています。期間限定ショップや低価格商品の投入は、単なる売上づくりではなく、将来のファンづくりのための「種まき」です。

マーケティングでは、「今売れる商品」を販売することも重要ですが、それ以上に「将来買ってくれるお客様」を育てることが大切です。政治や経済の環境は企業では変えられません。しかし、お客様との関係づくりは企業自身で工夫できます。

ファッション業界でも同じです。都市部だけでなく地方市場や海外市場へ広げること、新しい顧客との接点を増やすこと、体験価値を提供することが将来の利益につながります。今回の授業では、バンダイナムコの中国戦略から、市場拡大の考え方、政治リスクへの対応、そして長期的なブランドづくりについて学んでいきましょう。

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By EIC_Mr.S

私は神戸で生まれ、1986年にアパレル業界に入りました。当時の日本は、ファッション業界が大きく成長していた時代です。作れば売れる、そんな勢いのある市場でした。 しかし1991年、バブルが崩壊します。それまで順調だった業界は、一気に厳しい時代に入りました。 「なぜ売れないのか」「どうすればブランドは生き残れるのか」 その答えを探しながら、営業、商品企画、事業づくりに取り組み続けました。 その後、私は海外事業に挑戦することになります。台湾や香港で経営を任され、アジア市場で事業を展開しました。 しかし海外では、日本の成功モデルは通用しません。気候も、体型も、文化も、すべて違うからです。 商品も、組織も、販売方法も、すべてゼロから作り直す必要がありました。 多くの失敗も経験しました。しかしその経験が、ファッションビジネスの本質を教えてくれました。 それは 「売上ではなく、ブランドの仕組みがすべてを決める」 ということです。 現在は経営コンサルタントとして企業の支援を行いながら、専門学校の講師として学生にも授業をしています。 なぜ教育をしているのか。 それは、私が経験してきたことを次の世代に伝えたいからです。 アパレル業界を、少しでも良くしたい。 その想いで、私は今もファッションビジネスに向き合い続けています。