この授業で伝えたいこと

「規制」と聞くと、多くの人は「企業にとって不自由なルール」というイメージを持つかもしれません。しかし、ビジネスの世界では規制は単なる制約ではなく、新しい市場や新しい価値を生み出すきっかけになることが数多くあります。

今回取り上げるのは、EU(欧州連合)が始めた「売れ残った衣料品や靴の廃棄を禁止する」という新しいルールです。これまで高級ブランドはブランド価値を守るため、売れ残りの商品を廃棄することもありました。しかし、これからは大量生産・大量廃棄というビジネスモデルが通用しなくなります。

企業は「在庫を減らす」「リユースする」「リサイクルする」「最初から売れる数量だけ作る」といった経営への転換が必要になります。つまり、規制は企業に新しい経営を考えさせるきっかけなのです。

ファッション業界では、デザイン力だけではなく、環境への配慮や資源の有効活用もブランド価値になります。これから皆さんがアパレル業界で働く頃には、「どれだけ売ったか」だけではなく、「どれだけ無駄をなくしたか」が企業の評価につながる時代になります。

今回の授業では、EUの新しい規制をきっかけに、これからのファッションビジネスがどのように変化していくのか、そしてマーケティングや経営戦略がどのように変わるのかを一緒に考えていきましょう。

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By EIC_Mr.S

私は神戸で生まれ、1986年にアパレル業界に入りました。当時の日本は、ファッション業界が大きく成長していた時代です。作れば売れる、そんな勢いのある市場でした。 しかし1991年、バブルが崩壊します。それまで順調だった業界は、一気に厳しい時代に入りました。 「なぜ売れないのか」「どうすればブランドは生き残れるのか」 その答えを探しながら、営業、商品企画、事業づくりに取り組み続けました。 その後、私は海外事業に挑戦することになります。台湾や香港で経営を任され、アジア市場で事業を展開しました。 しかし海外では、日本の成功モデルは通用しません。気候も、体型も、文化も、すべて違うからです。 商品も、組織も、販売方法も、すべてゼロから作り直す必要がありました。 多くの失敗も経験しました。しかしその経験が、ファッションビジネスの本質を教えてくれました。 それは 「売上ではなく、ブランドの仕組みがすべてを決める」 ということです。 現在は経営コンサルタントとして企業の支援を行いながら、専門学校の講師として学生にも授業をしています。 なぜ教育をしているのか。 それは、私が経験してきたことを次の世代に伝えたいからです。 アパレル業界を、少しでも良くしたい。 その想いで、私は今もファッションビジネスに向き合い続けています。