この講義で一番お伝えしたいことは、現場の私たちが日々追いかけている「売上」の先にある、「営業利益」をいかにして手元に残すか、という戦略的な視点です。お店がどんなに賑わって売上が立っていても、値引きばかりの薄利多売(はくりたばい)では、最終的な営業利益は残りません。利益をしっかり残すためには、商品そのものの「粗利(あらり)」、つまり売上から原価を引いた利益を大きくし、「粗利率(あらりりつ)」を高い水準でキープすることが絶対に必要になります。

そこで重要になるのが、なんとなく服を作る・売るのではなく、顧客の本当のニーズを分析して定価で買ってもらうための「商品計画(マーチャンダイジング)」です。今回は、お客様が服を選ぶ基準となる「着こなしニーズの公式」から始まり、季節の行事や気候変動に対応する「MDカレンダー」の考え方、そして売れ残りを防ぐ「消化率」の魔法や「8対2の法則」を活用した在庫管理の手法まで、営業利益をアップさせるための実践的な仕組みを解説していきます。さらには、昨今粗利(あらり)が取りやすいビジネスとして注目されているリユース事業の構造や、お客様の「意味消費」についても触れ、どうすれば私たち自身の提供価値を高められるのかまでを網羅的にお話しします。明日からの店頭やブランドの業務に直結する内容ですので、一緒に一つずつ紐解いていきましょう。

By EIC_Mr.S

私は神戸で生まれ、1986年にアパレル業界に入りました。当時の日本は、ファッション業界が大きく成長していた時代です。作れば売れる、そんな勢いのある市場でした。 しかし1991年、バブルが崩壊します。それまで順調だった業界は、一気に厳しい時代に入りました。 「なぜ売れないのか」「どうすればブランドは生き残れるのか」 その答えを探しながら、営業、商品企画、事業づくりに取り組み続けました。 その後、私は海外事業に挑戦することになります。台湾や香港で経営を任され、アジア市場で事業を展開しました。 しかし海外では、日本の成功モデルは通用しません。気候も、体型も、文化も、すべて違うからです。 商品も、組織も、販売方法も、すべてゼロから作り直す必要がありました。 多くの失敗も経験しました。しかしその経験が、ファッションビジネスの本質を教えてくれました。 それは 「売上ではなく、ブランドの仕組みがすべてを決める」 ということです。 現在は経営コンサルタントとして企業の支援を行いながら、専門学校の講師として学生にも授業をしています。 なぜ教育をしているのか。 それは、私が経験してきたことを次の世代に伝えたいからです。 アパレル業界を、少しでも良くしたい。 その想いで、私は今もファッションビジネスに向き合い続けています。