この授業で伝えたいこと

デジタル化が進み、多くの情報がスマートフォンで手に入る時代になりました。その中で、「紙」は役割を終えたと思われがちです。しかし、実際にはフリーペーパーが再び注目されています。その理由は、「紙だから価値がある」のではなく、「誰に、どこで、どのように届けるか」を徹底的に考えたマーケティングが行われているからです。

今回の授業では、パルコが30年ぶりに復活させたフリーペーパー「GOMES(ゴメス)」と、地域密着型フリーペーパー「ARIFT(アリフト)」の事例から、現代のマーケティングを学びます。一方はブランド体験や来店価値を高めるため、もう一方は地域の中小企業の集客を支援するために活用されています。同じフリーペーパーでも目的は大きく異なります。

マーケティングで重要なのは、「媒体を選ぶこと」ではありません。「誰に届けたいのか」「どのような体験を提供したいのか」「どのような行動を起こしてほしいのか」を考えることです。デジタルと紙は競争相手ではなく、お互いの強みを活かして組み合わせることで、より大きな効果を発揮します。

アパレル業界でも、ブランドブックやショップマガジン、イベント冊子など紙ならではの価値が見直されています。この授業では、フリーペーパーという身近な事例を通して、「情報を届ける方法」ではなく、「お客様との関係をつくる方法」というマーケティングの本質を理解していきましょう。

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By EIC_Mr.S

私は神戸で生まれ、1986年にアパレル業界に入りました。当時の日本は、ファッション業界が大きく成長していた時代です。作れば売れる、そんな勢いのある市場でした。 しかし1991年、バブルが崩壊します。それまで順調だった業界は、一気に厳しい時代に入りました。 「なぜ売れないのか」「どうすればブランドは生き残れるのか」 その答えを探しながら、営業、商品企画、事業づくりに取り組み続けました。 その後、私は海外事業に挑戦することになります。台湾や香港で経営を任され、アジア市場で事業を展開しました。 しかし海外では、日本の成功モデルは通用しません。気候も、体型も、文化も、すべて違うからです。 商品も、組織も、販売方法も、すべてゼロから作り直す必要がありました。 多くの失敗も経験しました。しかしその経験が、ファッションビジネスの本質を教えてくれました。 それは 「売上ではなく、ブランドの仕組みがすべてを決める」 ということです。 現在は経営コンサルタントとして企業の支援を行いながら、専門学校の講師として学生にも授業をしています。 なぜ教育をしているのか。 それは、私が経験してきたことを次の世代に伝えたいからです。 アパレル業界を、少しでも良くしたい。 その想いで、私は今もファッションビジネスに向き合い続けています。