この授業で伝えたいこと

マザーハウスは、バングラデシュでのバッグづくりから始まり、各地の素材と職人の技術を生かして商品をつくってきたブランドです。今回のインタビューでは、軽く使いやすいバッグ、目立つロゴを控えたデザイン、お客様と工房の交流、直営店での販売などが語られています。ここで考えたいのは、「良い理念があれば商品は売れる」と単純に結論づけないことです。まず手に取りたい商品をつくり、買い物の場でその魅力を伝え、使った後に作り手の思いを知る。その順番だからこそ、商品への満足が信頼や再来店につながる可能性があります。一方、素材開発、職人の育成、店舗づくりにはお金と時間が必要です。売上だけで判断せず、品質、粗利(あらり)、在庫、従業員の成長、工房の継続性まで見てこそ、理念と事業を両立できます。特に直営店は商品の見せ方を決められる一方、家賃と人件費を自社で負担します。お客様が喜ぶ体験をつくり、その費用に見合う利益を残す工夫が欠かせません。授業の最後には、この考え方をアパレルの店舗にも当てはめ、どこに投資し、どの数字で成果を確かめるかを自分の言葉で提案できるようになりましょう。

※ website ※ ポッドキャスト  ※ WEBテキスト ※ レポート ※ メルマガ ※ LINEスタンプ

By EIC_Mr.S

私は神戸で生まれ、1986年にアパレル業界に入りました。当時の日本は、ファッション業界が大きく成長していた時代です。作れば売れる、そんな勢いのある市場でした。 しかし1991年、バブルが崩壊します。それまで順調だった業界は、一気に厳しい時代に入りました。 「なぜ売れないのか」「どうすればブランドは生き残れるのか」 その答えを探しながら、営業、商品企画、事業づくりに取り組み続けました。 その後、私は海外事業に挑戦することになります。台湾や香港で経営を任され、アジア市場で事業を展開しました。 しかし海外では、日本の成功モデルは通用しません。気候も、体型も、文化も、すべて違うからです。 商品も、組織も、販売方法も、すべてゼロから作り直す必要がありました。 多くの失敗も経験しました。しかしその経験が、ファッションビジネスの本質を教えてくれました。 それは 「売上ではなく、ブランドの仕組みがすべてを決める」 ということです。 現在は経営コンサルタントとして企業の支援を行いながら、専門学校の講師として学生にも授業をしています。 なぜ教育をしているのか。 それは、私が経験してきたことを次の世代に伝えたいからです。 アパレル業界を、少しでも良くしたい。 その想いで、私は今もファッションビジネスに向き合い続けています。