この授業で伝えたいことは、売れる商品は「良い商品」だけではなく、「今の気分に合う商品」でもあるということです。近年は健康志向や節約志向が強まり、低糖質・高たんぱく・機能性表示食品など、身体に良い商品が多く支持されています。しかしその一方で、人は常に理性的に買い物をしているわけではありません。疲れた日、頑張った日、ストレスがたまった日には、「今日は好きなものを食べたい」「我慢をやめたい」と感じます。そこに生まれたのがギルティ消費です。ギルティとは、少し罪悪感があるけれど、それでも満たされたいという感情です。企業はこの気持ちに注目し、高カロリー、濃厚、甘い、背徳感という要素をあえて価値として打ち出しています。つまり、弱点と思われていた部分を魅力に変えたのです。マーケティングでは、商品のスペックだけでなく、生活者の感情を理解することがとても重要です。人は商品そのものを買っているのではなく、その商品によって得られる気分や体験を買っています。健康ニーズだけを見るのではなく、その裏にある反動、解放、癒やし、ストレス発散まで見つめることが、これからのヒット商品づくりにつながります。市場を見る時は、「何が売れているか」だけでなく、「なぜ今それが欲しいのか」を考える視点を持ってください。

By EIC_Mr.S

私は神戸で生まれ、1986年にアパレル業界に入りました。当時の日本は、ファッション業界が大きく成長していた時代です。作れば売れる、そんな勢いのある市場でした。 しかし1991年、バブルが崩壊します。それまで順調だった業界は、一気に厳しい時代に入りました。 「なぜ売れないのか」「どうすればブランドは生き残れるのか」 その答えを探しながら、営業、商品企画、事業づくりに取り組み続けました。 その後、私は海外事業に挑戦することになります。台湾や香港で経営を任され、アジア市場で事業を展開しました。 しかし海外では、日本の成功モデルは通用しません。気候も、体型も、文化も、すべて違うからです。 商品も、組織も、販売方法も、すべてゼロから作り直す必要がありました。 多くの失敗も経験しました。しかしその経験が、ファッションビジネスの本質を教えてくれました。 それは 「売上ではなく、ブランドの仕組みがすべてを決める」 ということです。 現在は経営コンサルタントとして企業の支援を行いながら、専門学校の講師として学生にも授業をしています。 なぜ教育をしているのか。 それは、私が経験してきたことを次の世代に伝えたいからです。 アパレル業界を、少しでも良くしたい。 その想いで、私は今もファッションビジネスに向き合い続けています。