この授業で伝えたいことは、売れる商品は「良い商品」だけではなく、「今の気分に合う商品」でもあるということです。近年は健康志向や節約志向が強まり、低糖質・高たんぱく・機能性表示食品など、身体に良い商品が多く支持されています。しかしその一方で、人は常に理性的に買い物をしているわけではありません。疲れた日、頑張った日、ストレスがたまった日には、「今日は好きなものを食べたい」「我慢をやめたい」と感じます。そこに生まれたのがギルティ消費です。ギルティとは、少し罪悪感があるけれど、それでも満たされたいという感情です。企業はこの気持ちに注目し、高カロリー、濃厚、甘い、背徳感という要素をあえて価値として打ち出しています。つまり、弱点と思われていた部分を魅力に変えたのです。マーケティングでは、商品のスペックだけでなく、生活者の感情を理解することがとても重要です。人は商品そのものを買っているのではなく、その商品によって得られる気分や体験を買っています。健康ニーズだけを見るのではなく、その裏にある反動、解放、癒やし、ストレス発散まで見つめることが、これからのヒット商品づくりにつながります。市場を見る時は、「何が売れているか」だけでなく、「なぜ今それが欲しいのか」を考える視点を持ってください。
