現代のアパレル業界では、良い商品を作るだけでは売れにくい時代になりました。昔は「安い」「便利」「流行っている」が強い購買理由でしたが、今の顧客はそれだけでは動きません。自分らしさを表現したい、共感できるブランドを選びたい、失敗したくない、時間を無駄にしたくないなど、買う理由が多様化しています。

この授業では、現代の顧客がなぜ商品を選ぶのかを14種類の購買行動から学びます。モノ消費、コト消費、意味消費、推し活消費、タイパ消費、SNS消費など、一つひとつの行動には明確な心理があります。企業は商品を売るのではなく、その心理に合わせた提案を行うことで売上につなげています。

大切なのは、「何を売るか」より「なぜ買いたくなるか」を考えることです。同じTシャツでも、機能を伝えるのか、限定体験として売るのか、SNSで話題化するのかで結果は変わります。顧客理解が深まれば、接客、企画、販売促進、店舗づくりのすべてに活かせます。

この授業を通して、皆さんには顧客視点で考える力を身につけてほしいと思います。売る側の都合ではなく、買う側の気持ちを理解できる人材こそ、これからのファッションビジネスで求められる存在です。

By EIC_Mr.S

私は神戸で生まれ、1986年にアパレル業界に入りました。当時の日本は、ファッション業界が大きく成長していた時代です。作れば売れる、そんな勢いのある市場でした。 しかし1991年、バブルが崩壊します。それまで順調だった業界は、一気に厳しい時代に入りました。 「なぜ売れないのか」「どうすればブランドは生き残れるのか」 その答えを探しながら、営業、商品企画、事業づくりに取り組み続けました。 その後、私は海外事業に挑戦することになります。台湾や香港で経営を任され、アジア市場で事業を展開しました。 しかし海外では、日本の成功モデルは通用しません。気候も、体型も、文化も、すべて違うからです。 商品も、組織も、販売方法も、すべてゼロから作り直す必要がありました。 多くの失敗も経験しました。しかしその経験が、ファッションビジネスの本質を教えてくれました。 それは 「売上ではなく、ブランドの仕組みがすべてを決める」 ということです。 現在は経営コンサルタントとして企業の支援を行いながら、専門学校の講師として学生にも授業をしています。 なぜ教育をしているのか。 それは、私が経験してきたことを次の世代に伝えたいからです。 アパレル業界を、少しでも良くしたい。 その想いで、私は今もファッションビジネスに向き合い続けています。